「卒業生を送る会」中止 サプライズで3年生へ感謝の校内放送
2020-03-13
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、京都市内の小中高校でも、卒業式の規模縮小や、卒業生を送り出す催しの中止が相次いでいる。制約がある中でも大切な思い出を共有しようと、卒業式で披露する予定だった合唱を映像に残したり、校内放送で在校生がメッセージを伝えたりと、各校が工夫している。
嵯峨中(京都市右京区)では、10日に予定していた「卒業生を送る会」が中止になった。
代わりに、生徒会中心にサプライズ放送を企画。休校前最後の登校日となった今月4日、校内放送で3年生へ感謝を伝えるメッセージを流した。
サプライズ放送は、生徒会役員約10人が中心となり、たった1日で準備した。放送内容を練り上げ、教員や1、2年の生徒たちに協力を求めた。
放送は、4日の授業後に突然始まった。「今までたくさんお世話になってきた3年生に感謝の思いを伝えます」。生徒会役員の声がスピーカーから流れた後、1、2年の生徒たちが「ありがとうございました!」と各教室から大きな声で3年の教室がある棟に向かって叫んだ。小滝俊則校長は「3年生は驚いた様子で、思わず廊下に走り出た生徒もいました」と振り返る。
3年の学年主任大杉歓聖教諭も放送に登場。
入学当初から少しずつ成長してきた様子を思い返しながら「今を精いっぱい生きてください。自分を仲間を、家族を大切にできる心を持った生き方をしてください」と語りかけた。優しいメッセージに、涙をぬぐう生徒もいたという。
放送後、整列して帰宅する3年生を、後輩たちが教室の窓から「先輩ありがとう」「卒業おめでとう」などと声を掛けながら見送った。生徒会長の2年小野結比奈さん(14)は「サプライズが無事に成功してよかった。感謝を伝えられてうれしい」と話した。