【写真特集】司法関係者らに衝撃を与えた事件の現場
逮捕容疑は16日午後6時ごろ、浦和区高砂3の路上で、近くに住む妻でさいたま少年鑑別所職員、浅野法代(のりよ)さん(53)の胸などを刃物で複数回刺し、殺害しようとしたとしている。法代さんは搬送先の病院で死亡が確認された。
県庁の20代の男性職員は「『きゃー』というような男性か女性か分からない奇声が聞こえた。県庁周辺でこうした事件が起きて驚いている」と話した。
文教大は17日、越谷キャンパスで記者会見を開き、益田勉・人間科学部長は「(浅野容疑者は)温厚で物静かな性格。大変驚いている」と述べた。
同大によると、浅野容疑者は2007年4月から専任講師として勤務。15年に准教授に昇任した。専門は犯罪心理学や臨床心理学で、担当ゼミは司法関係の仕事を志す学生から人気だったという。
勤務態度には問題はなく、過去1年間は長期の欠勤はなかった。学生には動揺が広がっているといい、同大は学生への面談など心のケアを行う予定。近藤研至(けんじ)学長は「世間をお騒がせし、深くおわび申し上げます。学生がこれまで通りの生活を送ることができるよう支援したい」と述べた。
また浅野容疑者は08年から埼玉犯罪被害者援助センター(さいたま市南区)の理事として、犯罪被害者支援の施策の立案にも携わってきた。団体関係者は「青天のへきれき。信じられない」と声を落とした。
一方、死亡した法代さんが勤務していたさいたま少年鑑別所によると、法代さんは19年4月に東京都内の女子少年院から異動し、敷地内の官舎に浅野容疑者と子ども3人と入居した。統括専門官として、鑑別所に入所する少年の生活全般を見る責任者だったという。玉井清一次長は「とても優秀で笑顔を絶やさない方だった。非常にショックだ」と話した。
県警は、家庭内のトラブルの有無などについて慎重に調べを進める。